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ちりめん漁のその後に

2018/07/30 (Mon)

ちりめん漁の最盛期は春と秋。鮮度が命のちりめんは捕ってすぐに加工場に運び茹で上げます。加工場から絶え間なくあがる湯気からは、これだけでご飯がすすみそうなほど旨味を感じる香りが漂い、海端の干し場に所狭しと広げられた真っ白なちりめんは漁期の到来を告げる、明浜の風物詩でもあります。祇園丸の佐藤吉彦さんが言う「おいしさの秘訣」である太陽の力を借りてしっかりと干しあげ「祇園丸のちりめん」が出来上がります。…が、商品となり皆さんのお手元に届くまでにはもう一手間、重要な工程があるのです。

 

選別作業。ちりめん以外のものを選り分けています。根気と集中力が必要な仕事です。

 

 

テーブルの上には山盛りのちりめん。そこをピンセットを持った老若男女がぐるりと囲みます。幼い頃に砂場で遊んだ「棒倒し」のように少しずつちりめんを手元に寄せ、その中のちりめん以外の魚を別の皿に取り分けます。これが祇園丸の加工場での選別作業の様子です。ちりめん漁は魚群をみつけると長さ150mほどの網をいれ、まさに一網打尽。その群れごと取り込みます。網の中にはちりめん以外の生き物も入り込むのですが、今まで一番珍しかったのは海亀だとか(こちらはもちろん海に返しました)。茹で上げる前の行程でハリセンボンなどの大物から1cmほどの魚を取り除くことはできますが、海の生物は多種多様。すべてを除くことはできません。商品として袋詰めをする前に目視で選別を行います。

 

1度に選別する量は10kgほど。こちらでは「2回通し」と表現しますが、同じものを2度選別します。所要時間は30~40分。季節によって山の風景が変わるのと同じように、海の様子も時期によって変わります。混ざっている小さな生物の種類も割合も毎回異なるのだそう。選別の際にもっとも注意しているのは顎が鋭く食べた時に口にささってしまうようなものや咬むと食感に影響を与えるものを取り除くこと。特にアイゴはじゃりじゃりとした口当たりになるため必ず取り除くようにしています。この工程を経てやっと商品として皆さんにお届けしているのですが、さらにここから特に羽筋の良く色の白いものが「祇園丸の特上ちりめん」となります。大漁の時には一日中選別作業が続くこともあると言います。小さな生き物を一匹ずつ選り分ける。ちりめんの選別は集中力がものを言う手仕事の一つです。

 

パックに入っている乾燥材も一つずつ手作業で入れています。

 

 

ところで、小さなイカやタチウオ、サバコ、エビなど選別された生物を見ると、種類が豊富で、海の豊かさを感じます。これらは残念ながら食用にはなりませんが、祇園丸が行っている食育授業の教材のひとつ「ちりめんモンスターさがし」で活用しています。祇園丸の授業は漁師の仕事の紹介だけにとどまらず、魚付き保安林の話を軸に山と海の関係性や海の緑化活動の取り組み紹介など多岐に渡りますが、その中で行われる「ちりめんモンスターさがし」は年齢を問わず夢中になる人気教材の一つです。

 

選り分けたイカや大きく育ったちりめん。「ちりめんモンスター」として食育授業に活用します。

タツノオトシゴや小さなフグが入っていることも。

 

 

「今年の春漁は少なかったな」というのは四代目の哲三郎さん。
少しずつ減少傾向にあるちりめんの漁獲量。今までいなかったような熱帯魚などの姿も見かけるようになり、海の中でも温暖化が進んでいることを肌で感じています。こればっかりはどうしようもない、と言いながらも海の環境改善を目指して数年来ヒジキの自生栽培を行っています。近くの海岸沿いでも自生したヒジキが増えており、手ごたえを感じた春でもありました。次の漁期は秋。漁を終え全速力で宇和海を走る祇園丸の船を早く見たいものです。

 

▼そんな祇園丸のちりめんはこちらから。

http://muchachaen.shop-pro.jp/?pid=89351356