yaetoco

エッセンシャルオイルができるまで

2019.08.03

高知県の山間にある四万十(しまんと)川に沿って車を走らせていくと、山の中に大きな工場があります。高知県高岡郡四万十町にある株式会社エコロギー四万十(以下エコロギー)。ここでは、ゆずやヒノキなどの地元の地域資源を活用し、主にエッセンシャルオイル(精油)の抽出事業を行っている企業です。無茶々園のコスメブランド「yaetoco(ヤエトコ)」の立ち上げから長年お世話になっており、エッセンシャルオイルの抽出もエコロギーさんにお願いしています。

 

エッセンシャルオイル(精油)とは、植物の花、葉、果皮、果実、樹脂などから抽出した天然の素材(液体)で、植物の香り成分が凝縮された芳香物質のこと。デフューザーで香らせたり、基材に混ぜてアロマバスを楽しんだり、暮らしにあわせて様々にお使いいただけます。

 

yaetocoのエッセンシャルオイル。

 

2019年現在、無茶々園でも数多ある柑橘の中で抽出しているのは、伊予柑、甘夏、ゆず、青みかん。今回はその中の「甘夏」の抽出作業を見せていただき、抽出の過程とそのこだわりをエコロギーさんにお聞きしました。

 

 

左から従業員の佐々木さん、林さん、工場長の堀川さん、営業担当の小野川さん。

 

エコロギー四万十さんにおける精油の抽出方法は、「減圧蒸気蒸留法」。窯を真空にし、原料から取れる芳香成分を蒸留法で気化させてエッセンシャルオイルを抽出します。原料のそのものの香りを活かし、上品な香りに仕上がるのが特徴です。抽出方法の詳細はエコロギー四万十公式HPでもご紹介されていますので、ぜひあわせてご参考ください。

 

まずは果皮の下処理。検品しながら少しずつ果皮をミンチ状に。こうすることで、より多くのエッセンシャルオイルが取ることができます。今回お願いした甘夏果皮は約3t。ここでの果皮とは、手剥きして果肉を取り出した状態のもの。早朝から作業を開始し、1日約150~170㎏、20日ほどかけて行います。

 

甘夏果皮を検品しながらミンチャーに流す作業。

 

ミンチャーを通してミンチ状になった甘夏果皮。

 

水を少しずつ加えてペースト状に。

 

その年に取れる柑橘の状態で水の入れ具合や温度の加減も全く違うとのことで、ここも長年の経験があって成せるところ。特に甘夏は他の柑橘と比べて粘度が高く、水も多めに投入しています。仕込み作業の説明を聞きながら、「果皮の見た目は、香りの質には全く影響ありません。無茶々園の柑橘は香りも抽出率(果皮から取れる量)が良くて、私たちも抽出をしていてテンションが上がります!」と小野川さん。

 

さて、ここまでが果皮の仕込み作業。いよいよ蒸留作業に入ります。巨大な窯にペースト状にした果皮入れ、香りを損なわないように、温度調整に気を使いながら一日かけてじっくり熱します。果皮の量も膨大なので、数日に分けて実施。本当に時間と手間暇がかかる作業です。

 

ペースト状になった果皮を窯にいれてぐつぐつと煮ます。

 

そして、窯から出た蒸留気は、写真上部のL字型の筒を伝って左の小さい窯へ。ちょっと見づらいですが、小野川さんの右奥にある窯です。芳香成分が溶け出した蒸気を、冷却水を使って冷やして液体にしていきます。

 

窯と蒸留器はホースで繋がっています。

 

蒸留作業をしている間に、小野川さんに工場の裏手にある四万十川を見せていただき、「蒸留作業には四万十川の清流を使っています。大雨などで川が濁ってしまうと、なかなか作業ができないのも困ったもの。でも、晴れた日の川は本当に綺麗で、ここでこの仕事ができるのも四万十川のおかげです。」とのこと。この立地と自然の豊かさも抽出作業の一助となっているんですね。

 

そして、お話いただいている間に・・・。出てきました!このふつふつが努力の結晶、エッセンシャルオイル。抽出できる量は果皮に対してだいたい1%ちょっと。分かりやすく例えると、100㎏の果皮から1㎏ちょいしか取れません。ただ、取れた時の感動はまた人一倍なのです。

 

抽出されたばかりのエッセンシャルオイル。

 

最後に窯のタンクから蒸留水を抜き、エッセンシャルオイルを取り出して再度精製します。これでエッセンシャルオイルの完成です!

 

ボトル詰め作業時に、再度精製。

 

蒸留は機械にお任せする工程もありますが、自然と人の手間がかかる大変な作業。様々な人の手と思いが重りあってできたエッセンシャルオイルは、yaetocoの商品の主原料になっています。

 

エコロギーさんでは、無茶々園の蒸留委託以外にも、四万十流域のゆずやヒノキなどの蒸留を通して、地域資源を活用した産業を行ってきました。そして、今は微生物などの力を利用して、蒸留後の残差の処理にも自社で積極的に取り組んでいます。“循環型産業”という明確なビジョンを掲げ、一歩ずつ取り組んでいるその志は、場所や産業は違えど、無茶々園と同じ。yaetocoの原点である、柑橘の新しい可能性を最大限に引き出してくれる、エコロギーさん。今後もどうぞ末永くよろしくお願いします。

 

無茶々園スタッフ視察の様子。

 

できあがったエッセンシャルオイルはこちらから購入できます。ぜひ、柑橘ごとの香りの違いも楽しんでくださいね。

 

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