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世界に誇る 狩浜の段々畑

2019.09.17

この度、狩浜地区の段々畑を含む景観が国指定の重要文化的景観に指定されました。これを機に以前段々畑について連載していた明浜在住の里詩さんに改めて寄稿していただきました。

 

「この風景は人を幸せにする。」このひと言に私たちは迷いから覚めた。ここタカナデは狩浜の中でも段々畑はもとより、集落の佇まいやリアス式海岸の入江で織りなされる箱庭のような景観が一望できる視点場のひとつである。

2019年2月26日、狩浜の段々畑をはじめとする海・里・山の複合的景観を重要文化的景観とする国の選定(官報告示)を受けた。名称は「宇和海狩浜の段畑と農漁村景観」。全国64番目の選定地、愛媛県下では3箇所目、ミカンの産地では初めてだそうだ。ある人は、「集落にとっては2.26事件じゃの。」と真面目な顔で笑う。

なるほど。これからの狩浜、いや、同じ段々畑のある愛媛県南予地方のミカン産地にとっても革命的な朗報であったかもしれない。ふり返れば平成27年度から足かけ4年の綿密な地域調査は、住民が改めて足下(集落)を見つめなおし、郷土愛を確かめる機会にもなっていた。

選定の根拠となる300頁にわたる狩浜の調査報告書は自然、歴史・文化、生業など国内各地のエキスパートが、狩浜をつぶさに調べ上げたものだ。西予市は専属の担当者を配置し、国 (文化庁)や愛媛県、調査の先生方と地元の間を見事に取りもってくれた。先生方やゼミの学生たち担当職員たちと地元の信頼関係は今もこの地にしっかりと根付いており、関わる形は様々だが、これらの出会いに感謝したい。

この風景を求めて当地を訪れる人たちも徐々に増えているが、地元にとっては相変わらず当たり前の風景である。地区の中でも篤農家の先駆け80歳も半ばになる好々爺はいう。「若い頃は都会に就職していく同級生がうらやましくてな、どうして俺だけここで百姓か!そう思うと無性に悔しくてのお。段々畑を見上げるたびに恨めしく思えたもんじゃが、今はこれが宝物に見えてくるから不思議なものよ。」

 

 

 

文化庁文化財第二課は「宇和海狩浜の段畑と農漁村景観」を、宇和海に南面する入江で漁業と農業を営み続けてきた狩浜に形成された景観地で、石灰石の石垣で何段にも築かれた段畑を際立たせながら、海、居住地、段畑、山林が壮大に連なる眺めを特徴とする。

これは、黒潮の影響を受ける四国西南部のリアス式海岸における土地利用を示し、かつ、地形や地質に応じた斜面地農業の展開を伝える事例であり、我が国における生活及び生業の理解に欠くことのできないものとして貴重であると、選定の理由を述べている。確かに集落にはハゼ倉や桑納屋をはじめ、養蚕が盛んな頃に建てられた家屋が数多く残っている。渇水に備えた無数に点在する畑の井戸や、生魚をクサラカシ(魚肥)にして蓄えた畑のノツボ(野坪)は農漁村ならではの風景であるし、100種を超える海の水棲生物からは、太平洋と瀬戸内海の潮が混じりあう宇和海の豊かさが実感できる。野山や石垣に生息する希少生物も含め、調査結果に驚くばかりだが、地元の精神的支柱である祭り等の伝統行事が、粛々と守り継がれていることなども選定を後押ししたと思われる。ぜひ一度調査報告書をご覧いただき「うみ・さと・やま」のつながりを確認されたい。

 

 

文化的景観の「景観」とは、先生のことばを借りれば「地域らしさ」だという。「狩浜らしさとは何か」「狩浜の文化的景観の本質的価値とは何か」のテーマは地元の皆さんと4年間を通じて論議してきたことだ。これからも狩浜らしさを失わないこと、きっとこの学びに終わりはない。

重要文化的景観の選定はゴールではない。集落の数ある地域づくりの素材の一つが増えたことでもある。これから保存計画や整備計画(策定準備中)に基づき、重要構成要素の保存や活用、また集落の景観を整えていく取組がはじまる。とかく変化の激しい世の中だが、住民の暮らしに負荷をかけず、変化をできるだけゆっくりしたものにしていく。私たちはそのスタートラインに立ったばかりだ。選定の言葉はこう語りかけてくる。

まずはこの地を識ることだ。この壮麗な風景は、有り余る石があっても、誰かが積み上げようと声をあげなければ、生まれなかった。それは到底一人でできるものではない。古くは親方と網子、檀家や氏子などで結ばれた『協働』の理念こそ集落の維持発展を支えた原動力のひとつだ。今を生きるあなた方は、先人たちが培ってきた「集落で心地よく生きる知恵や工夫」をひもときながら、ここで暮らす幸せについて考え、連綿とつながれた命の営みを次代につないでいきなさい。

 

 

~今回ご紹介した段々畑を見に来ませんか?~
毎年大好評の「消費者交流会」を今年も開催いたします。

 

【実施日】
2019年11月9日(土)~ 11月10日(日)

 

【旅程】
≪1日目≫
JR卯之町駅集合(14:30)- お迎え - かりえ笑学校(明浜事務所)ご案内 - 農道ドライブ - 宿泊施設チェックイン(入浴)- 生産者との懇親会 - 就寝

 

≪2日目≫
朝食 - 収穫体験 - 昼食・意見交換会 - 明浜出発(13:40)- JR松山駅解散(※松山行きの特急が14:18にございます)

 

【料金等について】
・ご自宅から集合・解散場所(JR卯之町駅)までの往復の交通費と宿泊費は自己負担となります。JR卯之町駅到着後から解散までの交通費、食事代等は無茶々園にて負担いたします(個人でのお買い物は除く)
・宿泊は民宿故郷を予約いたします。料金は4,000円/人(予定)です。

 

【募集人数】
10名 参加者多数の場合は抽選となります。

 

【お申し込み方法】
以下のページに必要項目をご入力の上、お申込みください。
https://forms.gle/cbE4BehVj7WC6Kdb9

 

【締切】
2019年9月30日(月)

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