お知らせ news

果実の分析のお話

2020.01.27

果物の品質を決める尺度の一つにBrixがあります。いわゆる「糖度」のことで、果汁中にどれくらいショ糖や果糖などの糖が含まれているのかを測る尺度です。Brix≒糖度を測るには、果汁に含まれる糖の量によって光の屈折率が違う性質を利用した糖度計を用います。昔は万華鏡のように窓を覗き込んで目盛りを読むアナログの糖度計でしたが、最近はより手軽なデジタル糖度計を使うようになってきました。果汁を測定器に落としてボタンを押すだけで糖度をはじき出してくれます。

 

無茶々園では栽培から収穫出荷に移るにあたって糖度を測る機会を設けています。その一つが、出荷1か月ほど前に行う品質調査です。「糖酸分析」と言って、生産者から園地ごとにサンプルを提供してもらい、糖度を測ることでその年の品質傾向をあらかじめ確かめるものです。柑橘産地では地域の営農組織やJAによってよく行われており、無茶々園でも20年ほど前から毎年行っています。

 

糖酸分析の様子。

 

糖酸分析では糖度のほかに「酸度」も計測します。同じく果汁中に含まれているクエン酸などの有機酸の量を測りますが、糖度とは違って計測器で簡単に分析することはできず、中和測定と呼ばれる方法で測ります。果汁にフェノールフタレイン指示薬を入れておき、そこに苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を加えて酸を中和していきます。酸性からアルカリ性に変わると指示薬の色が変わる性質を利用し、どれくらい苛性ソーダを加えた時点で色が変化したかで酸度を測ります。まるで化学の授業で実験をしているような作業です。蛇足ながら、この酸度の中和測定に用いる道具は大きさや目盛りが果汁に特化しているため高額な特注品になります。果樹栽培の関係者しか触れることのない道具の一つです。

 

この糖酸分析は無茶々園の若手生産者が自ら行っています。いま事務局の人数も増えて出荷の担当者もついているなかで、この分析は生産者の持ち分として動かさない共同作業。日中の農作業を終えた夕方に集まり、多い時には200を超える数の園地サンプルを測定します。出荷適期の移り変わりにあわせて毎月1回、品種を変えて行っていきます。

 

毎年の栽培のなか、夏から秋にかけての天候から何となく糖度や酸度の動きが予想できるものですが、この分析によって糖度・酸度が数字として表れると、いよいよその年の仕事に沙汰が下ったような感覚になります。直近の12月に行ったのは1月から本格的な出荷がスタートする伊予柑とポンカンの分析です。数字としては悪くない、良いと言える結果が出て一安心。しかし、その後の天候や貯蔵条件も効いてくるわけで、無事に出荷を終えるまで気が抜けないものです。

 

無茶々園では糖度に強くこだわった栽培体系を作っているわけではなく、地域ぐるみで有機栽培を目指すことを本分としていますが、やはり糖度や酸度は気になります。実際の出荷管理では参考程度にとどめている数字ではありますが、生産者とも共有して次の栽培に生かしてもらう基礎データとして毎年とりまとめています。

 

今年のポンカンは糖度が高く、良い分析結果でした。ぜひご注文ください!

pagetop