お知らせ

藻場BANKの取り組みをはじめました

2023.10.14

温暖化の影響により近年、ちりめんの不漁、アコヤ貝の大量斃死など海の環境変化を感じています。無茶々園のある明浜町が面している宇和海では、温帯性の海藻から熱帯性の海藻へ、更にサンゴの群落へと置き換わりが進み、サザエやアワビ、青魚などの漁獲高が減少しているともいわれています。このような中で、危機を感じながらも具体的に何をすべきかがわからない状況でした。その中で、同じ宇和海で、藻場再生や環境活動に取り組む愛媛ダイビングセンター代表の中岡さんと出会い、気候変動適応対策として『藻場BANK』を設置することとなりました。

 

西予市明浜町高山の海のなか。水深6m以深は小さな瀬も見られず砂漠のようになっている。

※上記画像は愛媛ダイビングセンターブログより引用。

http://aquagate01.blog33.fc2.com/blog-entry-867.html

 

藻場BANKとは、人工的な簡易藻場礁を作り、その中でクロメという温帯性の海藻を育て、藻場を増やしていく取り組みです。藻場BANKの説明と共に、中岡さんから聞いた明浜の海の現状は衝撃的なものでした。狩浜地区では以前からの温帯性のクロメやヤツマタモクの群生が見られるが、直線距離僅か2~3㎞の高山地区では熱帯性の海藻ヒイラギモクの群生が9割にも及び繁茂、気候変動の最前線ともいうべき変化が進行していたのです。このまま何もしなければ熱帯性の海藻が増え魚種も変わってしまいます。また、海の環境変化、海水温上昇は、大雨や台風の発達、海面上昇による高潮の発生原因ともなり、柑橘栽培にも悪影響をもたらす恐れもあることを知りました。無茶々園では、山を守ることは海を守ることとして環境活動に取り組んできましたが、その逆、海を守ることは山を守ることでもあったのです。地域全体の課題としてすぐに取り組まなければならないと、愛媛県漁業協働組合 明浜支所、愛媛ダイビングセンター、地域創り法人:一般社団法人地方創生機構、無茶々園で『藻場BANK』の取り組みを始めました。

 

採取したクロメ (狩浜地区で採取)

 

左:ヒイラギモク(高山地区で採取)

右:ヤツマタモク(高山地区で流れ藻にて採取)

 

 

藻場礁の設置

中岡さん指導の下、簡易藻場礁を作成し、9月1日(金)、2日(土)の2日間で明浜町の沿岸、以下3か所に設置しました。

①明浜町狩浜(島の元)、②明浜町狩浜(フィッシングセンター)、③明浜町高山

 

高山地区に設置した簡易藻場礁

 

設置した藻場礁は、三つの階層に分かれた組立式のスチール製ラック。一段目の階層は藻食性魚類の防護網(一部が開閉可能)にて周囲を囲い、二段目はスチール製ラックの固定に海底の石を敷き詰め入れ、三段目となる足部は海藻の食害を起こす厄介者ガンガゼ(大型ウニ)対策用の底上げスペースです。一段目の防護網の中に、採取した海藻クロメの株と、その株から秋頃に出る遊走子(胞子)を着生させる基質ブロックを敷き詰めています。設置期間は4年の予定。2~3か月に一度、藻場礁の掃除・手入れ、1年後に遊走子の着生、芽吹き具合を確認等、定期的に経過観察、手入れを行っていきます。

 

 

今後の目標、課題

明浜の海の環境を守ること、まずは、藻場礁の中でクロメを増やし、藻場広げていくことが目標です。クロメ等の海藻は陸上植物よりも炭素固定能力が高く、藻場礁は脱炭素社会におけるブルーカーボンの取り組みとしても注目されています。藻場が増えることで温暖化の進行の緩和も期待されます。また、クロメは多年生の海藻で、サザエやアワビの餌でもあります。クロメの着床状況によってはアワビの稚貝放流実験も検討しています。

一方で、今後の活動をどう維持していくかという課題があります。藻場礁は水深7~9mにあり、手入れ点検にはダイバーが必要です。今回の設置は、中岡さんと明浜町の地域おこし協力隊の野島さんがボランティアで行っていただきました。今後定期的な活動をしていくためには、その費用の捻出、何らかの形で収益化が必要と考えています。しかし、これは、新たな雇用を生む機会でもあります。環境変化の最前線であることや、設置した藻場礁がどうなっていくかを観察していくことは、持続可能な社会の担い手を育む学びの場の提供、体験型教育ともつながります。それをさらに、観光振興、現在注目されているブルーツーリズムへ展開できれば、無茶々園によるグリーンツーリズムと合わせた地域全体の振興にもつなげていける機会だと考えています。

 

左:野島さん(地域おこし協力隊)

右:中岡さん(愛媛ダイビングセンター代表)

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