おかげさまで、今年で無茶々園は51年目を迎えることができました。1974年、伊予柑の実験園から始まったこの取り組みが、半世紀を経て続いてきたことは決して当たり前のことではありません。ここまで歩みを進めてこられたのは、生産者だけでなく長年支えてくださった消費者の皆さんのおかげです。改めて感謝申し上げます。
2025年の出来事
2025年を振り返ると、新出荷場が完成し、温州みかんの豊作も重なり順調に稼働しています。今年は直売所など新たな拠点づくりに取り組む予定です。
海の仕事に目を向けると、青のりの養殖・販売は好調に推移していますが、ちりめんじゃこは不漁が続き、牡蠣についてはテレビ報道されたように夏の高温と雨不足による高塩分濃度により5割から7割が死滅する深刻な状況となりました。その為今年は牡蠣をお届けすることができなくなりました。2023年9月から海の環境活動として取り組んでいる藻場づくりでは、クロメの繫茂が確認できた場所もありましたが、食害によって思っていたような成果にはつながらない年でした。現在は新たに明浜小学校の児童と一緒に竹をつかった藻場づくりに挑戦しています。藻場づくりの様子や、青のりの取り組みについては、無茶々園や明浜小学校のホームページ、動画でも紹介しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。
今期は温州みかんが大豊作でした。たくさんのご注文ありがとうございました。
果汁も搾れたので販売休止していた温州みかんジュースも無事販売再開できました。
福祉事業では、デイサービスを3つ、グループホームを1つ開所していますが、福祉の現場でも高齢化による人口減少や重労働などの理由で介護の担い手不足が課題となってきました。海外農業技能実習生の経験を活かして、ベトナム人介護実習生4名が共に働いてくれています。
変わり続ける環境
無茶々園の50年は、産直(消費と産地の直接的な提携)という新しい経済の仕組みを生み出したことや新規就農支援によって若者の農業参入を促したこと、農業分野だけにとどまらず、協同労働による福祉事業の展開、漁業者との連携による環境活動、明浜とベトナムの国際田舎の連携など多様な取り組みに挑戦し、持続可能な町づくりを実践してきました。
一方で私たちを取り巻く環境は、50年前に比べより一層厳しさを増しています。気候変動により地球沸騰化と呼ばれるほど高温化の進行や終わりの見えないウクライナ、パレスチナ紛争。円安の影響でエネルギーや資材・食料など生活必需品の価格高騰が未だ続いています。また、最低賃金が愛媛県でも前年より77円高い1,033円となり(ちなみに40年前の最低賃金は402円、10年前は694円でした)、農家経営における負担増が顕著となりました。そればかりではなく、都市部や国際間の賃金格差により働き手の確保が大きな課題となっています。こうした状況の中で、昨年も商品価格の改定をお願いすることになりました。物価高騰が続く中で、消費者の皆さんにとっても負担が大きいことは十分承知しています。値上げによって、これまで手に取っていただいていた商品が、届かなくなるかもしれないという不安もあります。それでも、持続的に生産を続け、次の世代へ仕事をつないでいくためには避けて通れない判断でした。価格の背景をただ説明するのではなく、共に未来を考える対話を続けたいと願っています。引き続き率直なご意見をお寄せいただければ幸いです。
これからを考える
50年の節目を迎え、私たちは改めて「無茶々園の向かうべき方向」について見つめ直す時間を持ってきました。組織が成熟化していくとどうしても依存度が高くなり、「無茶々園が、職員が、誰かがやるだろう」となりがちです。50年を契機に依存構造から離れ、当事者意識・自分ごとを取り戻すために、また地域と無茶々園の未来をつなぐため「100年続く無茶々園の里」を目指したビジョンを時間と労力をかけて議論し続けています。これまでの50年は社会の利益を優先してきたように思いますが、これからの50年は社会の利益を考えつつ、多種多様な個人の利益も尊重する時代ではないでしょうか。
ビジョンについて話し合いの様子。農家、職員の無茶々園全員で議論をしています。
ビジョンの柱となるのは
ビジョンの大きな柱は、第一次産業を中心とした持続可能な町づくりをさらに進化させるというものです。「自給と自立」「環境と食」をキーワードとし、無茶々園らしい寛容性を大事にしながら、多くの人たちの参加による豊かな暮らしを実現していく取り組みです。そして、自分たちだけが豊かになるのではなく、無茶々園の町づくりを日本へ(農村や都市)世界へ「広げて」いきます。あえてこの言葉を使っているのは「広げる」ことで人と人との新たなつながりを構築し、このネットワークが重層化し「つながりの経済圏」を生み出そうと考えているからです。
私が提唱しているコミュニティ産直(地域循環共生圏)を具体化したいと考えています。これまでの産直・提携は生産者と消費者、みかんと消費の関係で語られていました。これからは田舎と都市、田舎の地域と都市の地域の関係性を提携関係にするという事です。わかりにくいとは思いますが、モノと人の関係性から地域と地域の関係性へ、田舎と都市のモノ・人・お金の循環を起こす、地域経済を回す、人々の交流が回るイメージです。
無茶々園が実践してきた持続可能な町づくりを日本や世界へつなぎ、広げることで新しい自治や経済の仕組みを編み出し、幸せな新しい社会を創りたい。だからこそ、自分たちの将来を自ら創造し、安心して暮らせる地域を地域住民や行政と共同して作る必要があるのです。
地域循環共生圏のイメージ図(出所:環境省)
想像してみてください。この西予市明浜町の2050年の姿を!時間がゆっくり進み、だれもがのんびり生活している。ロボットや海外の人達もいっしょに生活している。リアルとバーチャルが共存し、人々は豊かな暮らしをしている。旅行で農村へ、都市へ、海外へ仲間のみなさんに会える。そんな社会を実現するためにも、多くの方たち(都市生活者や世界の人々)と「共感」し、つながることで少しずつ世の中が変わっていく。「気候危機」は待ってはくれません。今からやれる取り組みから始めましょう。
今後ともよろしくお願いします
無茶々園はグループ全体で海外技能実習生9名を含む職員155人、関係する生産者161名、個人農家を支える海外技能実習生15名で新年をむかえました。無茶々園はこれからも10年・20年後の未来の子どもたちのために小さな多くの種をまき、日本一の町づくり集団を目指します。無茶々園でよかったと言えるように!どうか、皆様もこの田舎再生運動に参画して頂き、活力ある日本にしましょう。
株式会社地域法人無茶々園
代表取締役 大津清次