去る4月16日(木)から17日(金)にかけて、無茶々園の50周年式典を開催しました。最初に伊予柑の無農薬栽培実験園を作ったのが1974年ですので、正確には52年目にあたりますが、このあたりの大雑把さもひとつの無茶々園らしさ。ともあれ、およそ半世紀を経て、紆余曲折や複雑な分岐を経て現在にたどり着き、こうして式典の開催を迎えることとなりました。
今回の式典では、生産者やスタッフなど関係者のほか、およそ200名のご招待者の方に参加していただきました。日頃から私たちの産物を取り扱っていただいている生活協同組合をはじめとした販売先、運送や資材調達など身近で支えてもらっている地域の仕入先や、環境保全型農業や産直にともに取り組んでいる農業者など、北海道から九州まで、全国からお客様をお迎えしての開催となりました。
式典の様子。
一般的に、大人数が参加する周年式典の開催は、ホテルやイベントスペースなどの大きな会場を借りて行われます。結婚式や葬式も昔は自宅や地域で行うものでしたが、今では専門の式場を使うのが当たり前。そんななかでも、無茶々園の50周年式典は、いま事務所を置いているかりえ笑学校(旧狩江小学校)を会場として、準備から後片付けまで、まさに手作りで開催しました。
無茶々園のある西予市明浜町は小さなまちです。観光地でも交通の結節点でもないので、そもそも大きなホールや宿泊場所が揃うような、イベント開催で頼れる施設が近くにありません。それなら今回は大きな会場がある都市で行っては、との(冷静な)声もありました。しかし、せっかく集まってもらった方々に、明浜の段々畑や海を案内し、生産者やスタッフと顔を合わせてしっかりと交流したい。印象に残る体験としてもらいたい思いで、やっぱり最後には、利便性よりも地元での開催にこだわりました。これもまた無茶々園らしいところです。
考えなければいけないのは会場だけではありません。宿泊先に移動手段、懇親会や見学会に、さまざまな展示や記念誌の作成など、整えなければいけないことは山ほどありました。事前の準備や当日の対応には、生産者もスタッフもほとんどみんなが当事者として何かには関わることになります。9年前の40周年でも、21年前の30周年でも、毎度総出で臨んできたのですが、およそ10年に1回、大掃除でもするように、この2日間にエネルギーを注ぎこんでいます。
受付の様子。全国からお越しいただきました。
さて、もうひとつ大事なのは式典の内容です。前回の40周年は農林水産祭むらづくり部門(みかんづくりではない)で天皇杯を受賞した直後でもあり、純粋にお祝いの要素が強くなりました。対して、50周年といえば半世紀の大きな節目です。自然と次の50年、創設から100年が意識にのぼり、未来を考えることがテーマとなっていきました。
式典では、「ビジョン・ミッション」を語るパートを設けました。ビジョンやミッションは、無茶々園がこれからどこへ向かうのか、その考え方を言葉にしたもので、世の多くの会社や団体でも整備されています。これまでも相応の表現はあったものの、体系としては整理されておらず、この機にビジョン・ミッションのかたちにまとめなおすよう、式典の準備と平行して進めてきました。
作成作業はこれも大変な労力のかかる工程でした。いま無茶々園に関わっている様々なメンバーにとっての納得感が得られるように進め、素案の作成から、説明会や意見収集などに多くの時間をかけ、議論を重ねて作っていきました。こうした経緯や苦労のエピソードから、最終的にとりまとめたビジョン・ミッションの案内とそこに込めた思いや考えについて、式典のなかで紹介しています。
ビジョンミッション発表の様子。
また、いま無茶々園の近くにいる20代の若い世代が、次の50年にむけて自身の考えを語るトークセッションも行いました。高校から農業を学び明浜へ戻ってきた農業後継者、紆余曲折の末に明浜にたどり着いた地域おこし協力隊、創業世代の孫であり起業家でもある学生と、明浜に縁のある3人がそれぞれの考える未来をしっかりと言葉にしました。
トークセッションの様子。
創設時には、当時20代だった若者がはじめた実験的な取り組みでした。創設から今日までつながってきた取り組みも、そろそろ直接顔を合わせることのできない世代に引き継いでいく頃合いです。50年経ったいまでも、こうして若い世代が前に出て発言する環境自体が、また無茶々園らしいところかもしれません。
準備と運営のために生産者やスタッフが関わり、多くの参加者を迎えて、この小さな集落でお祭りのような非日常と一体感を作り出した式典でしたが、まだまだやり残していることもあります。この式典では、どうしても会場や宿泊の都合もあり、この天歩をご覧になっている個人会員の皆さんをお誘いすることができませんでした。
次の50年も、日頃から無茶々園を支えてくださっている皆さんとともに歩んでいくものだと思っています。50周年は式典限りではなく、今回ご招待が叶わなかった個人会員の皆さんとも、この一年をかけて、あらためて交流の機会をつくっていきます。
40周年の際の消費者交流会の様子。50周年版もお楽しみに。