お知らせ

海を見つめながら

2026.07.11

早朝、漁に出る祗園丸の船。ちりめん漁は3隻で行います。

1隻が魚を探し2隻で網を引きます。

静かな海にエンジン音が低く鳴り響く、明浜の朝の風景です。

 

 

海の変化について、ここ数年で「明らかに違うと感じる場面が増えてきた」。そう話すのは、祇園丸の佐藤哲三郎さんです。

「これまでは、ある程度漁の予想ができていた。鹿児島から始まるちりめん(しらす)漁が徐々に北上し、愛媛でも獲れ始める。その流れに合わせて準備を整えるのが、長年の感覚だった。祖父の時代には、『ちりめんが獲れなくなることはない』と言われるほど大漁で、毎年のようにちりめんが獲れ、漁の見通しを立てることも難しくなかった。しかし近年は、その『当たり前』が通用しなくなってきた」と話します。

本来、春漁と呼ばれる4月から6月の時期は、年間の漁獲量の三分の二を占める大切な期間です。しかし現在は、その春の漁がほとんど見られなくなっています。「このまま、ずっと獲れないのではないかという不安もある」語ります。これまで漁獲が見られていた鹿児島や愛媛では不漁が続く一方で、香川や静岡など他の地域で水揚げが増えているという話もあり、潮の流れだけでなく、海水温の上昇などの影響により、産卵する場所が変わっている可能性もあるのではないかと感じていています。

 

水揚げ直後のちりめん。急いで加工場に運びこみます。

 

一方で、こうした変化を「仕方がない事」と受け止めるだけではなく、新たな取り組みも続けています。そのひとつが、ちりめんを使った加工品の開発です。漁獲量が安定しない中で、「これまでの形だけでは続けていくのが難しくなる」「ちりめんに頼るだけではなく、新たな基盤をつくる必要がある」と哲三郎さんは話します。実際にここ数年、ちりめんと青のりの佃煮などの商品開発に取り組んできました。地元の原料と組み合わせることで、新しい価値を生み出そうとしています。

 

祇園丸の加工場での休憩中の様子。忙しさの合間に、ほっと一息つく時間です。

新たに祇園丸が開発したのは、ちりめんを使ったパスタソース。着目したのは、ちりめんを釜茹でした際に出る「ゆで汁」でした。祇園丸では、ちりめんを茹でる際に殺菌剤や漂白剤を使用していません。そのため、ゆで汁にはちりめんの旨みが溶け出していると考えました。これまでは使い道がなく、廃棄されていたゆで汁に特製の魚醤を加え、素材の味を活かしたソースに仕上げました。変わりゆく状況の中で、続けていくための形を模索する挑戦が続いています。

 

ちりめんの旨みが溶け込んだ出汁をベースに、

にんにくとオリーブオイルでシンプルに仕立てたペペロンチーノソース。

こだわりの隠し味は5年熟成の自家製魚醤。

このパスタソースは収穫イベントなどで提供する予定です。どうぞお楽しみに!

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