酸っぱさが特徴的な昔ながらの柑橘
「甘夏」の正式な品種名は「川野夏橙(かわのなつだいだい)」といいます。夏みかん(夏橙)の枝変わりとして昭和初期に大分県の「川野さん」の農園で誕生。昔ながらの夏みかんはとにかく「酸っぱい」柑橘ですが、この甘夏は酸味が少なく食べやすいことから各地に普及していきました。
元祖の夏みかんは江戸時代に山口県で文旦の自然雑種として生まれたといわれ、山口県の特産として知られていましたが、今では甘夏のことを「夏みかん」と呼ぶ人も多くなり、本来の夏みかんにはめったにお目にかかれなくなっています。さらに、甘夏の枝変わりの「新甘夏」(甘夏より甘みが強い)や「紅甘夏」(果皮が濃いオレンジ色)という品種もあり、これらも「甘夏」として出荷しています。
樹成の甘夏。でっぷりとした果実。
古くから地域を支える甘夏は、大きい樹も多い。
高いところの果実はよじ登って収穫します。安全第一。
高枝切りハサミを活用する農家も。
てんぽ印の甘夏畑
無茶々園では2000年頃に愛媛県最南端に位置する南宇和郡愛南町に約5haの甘夏園を購入しました。当時明浜町から愛南町まで車で2時間ほど、生産者が代わる代わる通って共同作業をしていました。その後、この甘夏畑は新規就農希望者の研修農園的な位置付けともなり、これが現在の「てんぽ印(旧ファーマーズユニオン)」のルーツとなったといえます。甘夏は病害虫や寒さに強く、無農薬でも栽培しやすい品種。つまり新規就農者でも作りやすかったのです。
5月の収穫の追い込みの時期には、明浜町から助っ人も参加してひたすら収穫。今では途中まで高速道路が延伸し1時間半ほどで着くようになりましたが、ちょっとした遠足気分です。てんぽ印代表の村上曰く、「甘夏はおおらかな柑橘」だそうです。おおらかな甘夏を人間が世話しているのか、それともおおらかな甘夏が我々を見守ってくれているのか。次々と新品種が登場する昨今ですが、少々の皮のむきにくさには目をつぶり、(便利な皮むき器もありますよ)おおらかな気持ちで古参品種の甘夏を楽しみたいものです。
てんぽ印、甘夏収穫のようす。
明浜の畑に比べれば平坦な箇所も多いので、クローラーなども使います。
とにかく量が多いので、選果も大変。出荷が佳境を迎える5月には疲労困ぱい・・・
甘夏を食べる
旬は3月から5月。はじめはやや酸味が強いので、酸っぱい柑橘がお好きな方におすすめ。マーマレードを作る場合は皮がしっかりしている4月までが適しています。次第に酸が抜けてまろやかになり、初夏には「甘いですね!」と感嘆の声を上げる方もいらっしゃるほどです。
皮が厚いので包丁で切り込みを入れてから外皮をむき、じょうのう(内皮)もむいてから食べましょう。皮むき器の「ムッキーちゃん」を使うと簡単に食べることができますよ。使い方を紹介していますので、下記動画もぜひ見てみてくださいね。
3~4月ごろの甘夏はまだ皮がしっかり。加工するならこのころがおすすめです。
輪切りにしたらこんな感じ。種はそこそこあります。
ムッキーちゃんを使うと外皮も・・・
内皮も簡単にむけます。最初のころはとても楽しい。下にある動画でもどうぞ。
ひと手間かけるに値する美味しさ。
出荷期間が長い分、時期によって風味も変化してきます。
その移り変わりを楽しむのもよいかも。
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