創設者 片山元治コラム
「わしらの農業」
column

環境論

2012.08.02

 世の中は生物輪廻の法則に従って動いています。つまり、生命の世界は、食べたり食べられたりしながら回っていると言うことです。そこには、生命保存の法 則があって、生あるもの、皆生きようとします。そのため、生命体はいろいろ工夫をします。生きるためにDNAを変化させ、毒を作り命を守ろうとすることも 出来ます。つまり、この世で完全に安全な食べ物は存在しないのです。食の安全はそこから見つめなくてはなりません。何千年も、何万年も、食べつづけたもの は、お互い地球規模で時間の流れと共に変化してきているのでそう問題はないと考えます。しかし、人間が化学的に合成した物質は、生命がその化学物質と付き 合い始めて歴史が極めて浅いから生命現象との順応性が未知数なのです。その意味で、人間が作った化学合成物資は全て安全とは言えない物です。その観点から マシン油を見ますと、多くの国の有機農業に認知された農薬として、マシン油は原油を精製して作った物ですが、乳化剤は合成洗剤の一種だと思いますので、化 学的毒性で害虫を殺すのでなく油で来るんで窒息死させる農薬だけれども毒性が無いとは言えません。ただ、このマシン油で反応する人は、地球上で反応しない 食べ物は無いんじゃないですか。そこまで来た人は、安全な物を探すより自分の身の回り、生活を見なおすほうが先だと思います。そして、地球上から化学物質 汚染をなくす運動に積極的に参加するべきです。

 ミカン作りは1年間がサイクルなので1年間無農薬と言う意味でしょう。新JAS法では転換中有機栽培と言います。無茶々園は新JAS法の基準に順じての 表現に変えましたので、1年以上無農薬栽培したミカンと言う表現をしています。無茶々園は健康で安心して食べられる食べ物の生産を通して田舎作りを目指す 運動体です。一年間無農薬でミカンを作ると言う事は、並大抵の努力では出来ません。消費者はむしろ感謝して食べるべきです。このことで、不満のある方は、 食べてもらわなくても結構です。それよりも環境・健康の運動ですので、先に進んだ農家・今始まった農家、いろいろいます。不満を言うのではなく、本当に、 何年もの無農薬栽培のものが欲しいのでしたら、先を行く生産者とつきあってください。それ相応のお金で買えない努力が入ります。

 環境・有機農業などへの努力はいくら頑張ってやっても、一般的に見えるものではありませんでした。むしろ、環境破壊をしておきながら綺麗事を並べて覆い 隠してきたのが企業の現状でした。ところが、ISO14001という国際環境規格の存在する事を知り、勉強をしてみると、ややっこしい事はややっこしいが 大変優れた手法の規格で、IT革命の時代にこの規格に従って環境管理をして公開していく事が、今後の農業に必要である事を認識しました。無茶々園の会員の 大半にパソコンを買ってもらい、生産工程管理のソフトを作り、毎日作業日誌を記入してもらっております。0-157、サルモネラ菌、狂牛病等、グローバル 化の世界での食べ物の価値は、できた食べのもに生産情報をそえてはじめて本当の価値が生まれる物と確信しています。
 また、家庭生活でもISO14001を回す仕組みを作っています。そのうち、消費者会員の家庭でもISO14001を回してもらおうと思っております。
 環境への努力が国際規格で見えるのがISO14001です。新JAS法の有機認証は販売のための基準であって、有機栽培で認められた農薬は減らすと言う 努力をしなくても良いのです。環境への配慮それは,健康への配慮でもあります。新JAS法には、環境への配慮の努力と言う視点が欠けています。皆さんも、 安全な食べ物が欲しいと言う気持ちと、環境への配慮の努力をしていますか。それは車の両輪です。
 無茶々園は環境への配慮の努力に,視点を置いたISO14001を選びました。

 私達の農業を取り巻く自然環境をよく観察すると、15年ほど前から、環境の異常性に危機感を持つようになりました。記録的な高温・記録的な日照り・記録 的な降雨どれを取っても不気味さを感じます。海の魚も・畑のとんぼやバッタや・カブト虫など昆虫が、種類も数もメッキリ少なくなりました。そして体が小さ くなりました。まわりの生き物達を見ても不気味さを感じられずに入られません。都市生活ではコンクリートのなかで年中快適環境で生活しているので気づかな いかもしれませんが・・・。
 無茶々園の里の気温が20年前の鹿児島の温度と同じ高さになっているようです。20年前は、秋に枯れていた雑草が越冬するものもでてきました。害虫だっ てカメムシなど、石や,落ち葉の下でやっと生き延びていたのが、ミカンの木の上で越冬するようになりました。私は、世界の一番気候の良い日本でさえもこの 状態ですので、ヒマラヤや砂漠などの極限の地帯では、人は生きていけなくなっているのではなかろうかと予想していました。モンゴルでは、異常寒波で300 万頭の家畜が死んだそうです。
 私の想像が当っていたような気がします。夏の夕立ちが来なくなって久しい。知らない子供も多くいるのではないでしょうか。近頃の若者の精子の数がものす ごく減っているそうです。そのうちに、朝立ちしない子供が多くなるのではないでしょうか。そのうち、人類も,佐渡島の朱鷺のように滅亡するのではないで しょうか。農業を取り巻く環境の異常性が、自然の現象なのか、人間が作った異常なのか、いずれにしても、人類が,自然への配慮の努力を怠れば、環境破壊は すでに遺伝子レベルまで深刻な事態に直面している事を物語っております。
 無茶々園はISO14001を運用する事で、環境への配慮の努力を続けていきたいと考えています。そして、会員一人一人が自分達で出来るところから環境 への配慮の努力をしていくつもりです。そして、面倒でも,地球の生き物としての義務を果たしていきたいと思います。

pagetop