創設者 片山元治コラム
「わしらの農業」
column

弥次喜太論

2012.08.02

 弥次さん喜太さんがのらりくらりと東海道を旅したのと、農協さんが旗を振ってチイチイパッパとヨーロッパまで出かけるのも同じ旅だがどこが違うか。

 東京から大阪までは新幹線なら2時間半、飛行機で一時間その間を野次さん達は14日かけて旅をしたのである。ハリー・コモナーと言う、偉い経済学者が言 うには、野次さん達の14日の旅と、飛行機の一時間の旅とで、費やすエネルギーの量は大体同じだそうです。つまり文明というものは、科学の力がどうのこう のというけれど時間当たりに消費するエネルギーの量が多くなったに過ぎないのです。

 ところが、人間が使うエネルギーは、台風や地震や火山のような自然循環に組み込まれた消費エネルギーとは質を異にするので環境破壊として後遺症が蓄積するのです。

 旅は道ずれ世は情け、何時の時代もこれが旅の神髄、ファーストクラスの飛行機に乗って5つ星のホテルに泊まり云々、という連中と、野次さん喜多さんの旅とどちらが価値ある旅といえるでしょうか。人生の旅も、同じことが言えるのではないでしょうか。

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