明かり
朝早く出かける時も、夜遅く帰って来た時も佐藤真珠の工場にはいつも明かりがついています。長女を妊娠中は目が覚めてしまい、早朝に散歩していましたが「昨日は遅くまで飲んでいたはずなのに」と思う朝も仕事が始まっていました。その光景は今も変わりません。
私にとって真珠は「冠婚葬祭にかかせないもの」であり、いざというときの出番を待つ遠い存在のものでしたが、明浜に移住し無茶々園の仲間として養殖の現場から真珠に触れるようになり、少しずつ身近なものへと変わってきました。
手をかけること
真珠は、アコヤ貝を何年もかけて育て、真珠の元となる核を入れ海と陸を行き来させながら人の手をかけてさらに育てていきます。貝に付くフジツボなど、成長を阻害するものを取り除くために1つひとつを掃除し再び海へ。この繰り返しの先でも真円の真珠ができるのは数%。わずかな可能性を信じ続け、それでもどんなに尽くしても、思い通りにならないのは子育てと似ています。
輝きのもと
宝石の多くは、地殻変動などの偶然の重なりによって生まれ、研磨し輝くのに対し、真珠は、貝の中に入ってきた核に何層も膜を作り重ね、内包できるように貝自身が作り出したもの。真珠は「異物を排除するのではなく受け入れることによって輝きを生む」と聞いた時に成熟した社会や人の成長のようだと感じました。異物の侵入という危機を自らの力で乗り越えていくことから船乗りがお守りとして持っていたらしいという話にも合点がいきます。
私が日常的に使っているのは小ぶりのイヤリング。冠婚葬祭用には少し小さ目なのですが、特別な場の為ではなく、いつもの服に合わせることができます。愛情を一身に受けた真珠を身につけるといつもより背筋が伸び、勝手に運気があがるように感じます。
真珠のごとく
さて私事で恐縮ですが今春長女が親元を離れることとなりました。ピアスをするか迷っている彼女には、一粒のネックレスを贈ろうと思っています。真珠のごとく、時には誰かの手を借りながら、様々な出来事を受け入れつつ自分の輝きを育ててほしいものです。(藤森)
真珠のお手入れ
汗や皮脂は変色の原因になりますが、身につけた後に柔らかい布で水拭き→乾いた柔らかい布で二度拭きしていただくことで防ぐことができます。また紫外線によって変色する場合がありますのでお手入れ後はケースに入れて保管することをお勧めします。