ベトナム

カカオへの情熱

2021.07.06

私はこの数年ベトナムで仕事をするうちにカカオの魅力に取り憑かれてしまいました。苗を植え本格的な収穫ができるまで9年と長く、栽培が難しい事に魅力があり、また世界中の人がチョコレートやココアを愛しているのに、その原料となるカカオ豆がどの様にできているかを知る人が少ないことも面白味のひとつです。

 

収穫までもう一息のカカオとともに。


髙埜 太之(たかの もとゆき)

2011年の震災を機に脱サラし、友人ら10名と共にベトナムに渡る。紆余曲折を経て農業を始め、6年前に代表の片山元治と出会いFarmers Union Venture(ファーマーズユニオン・ベンチャー)に合流し現在に至る。


 

カカオの果実はカカオポッドと呼ばれ、ラグビーボールの様な形をしています。中には甘酸っぱい果肉が詰まっており、果肉の中に鮮やかな紫色の種があります。この種を木箱に詰め発酵させ、乾燥させたものが「カカオ豆」と呼ばれるものです。実はこの発酵が極めて重要で、発酵させないとチョコレートやココアの風味は生まれません。この為カカオ豆を生産するには、栽培・発酵・乾燥等の技術が必要となり、ベトナムでは新たにカカオを植える人は減少傾向にあります。

反面、近年ベトナムのカカオ豆は世界的に評価される様になりました。これはベトナムのカカオ豆の風味がフルーティであると共に、ベトナムが品種改良を勢力的に行って来た結果だと思っています。

 

白い部分が果肉。

 

真っ白な果肉はヨーグルトのような味。

 

木箱で発酵させる。

 

発酵後、乾燥させるとカカオ豆に。

 

私は幸運にもカカオ栽培に情熱を注いで来たタムさんに出会う事が出来ました。現在タムさんが生産したカカオ豆は、すべて私たちが取り扱いその多くを日本へと輸出しています。タムさんは2010年まで、カカオ豆輸出の国営企業の社長であり、ヨーロッパへ輸出をしていました。しかしカカオ豆を取扱ううちに、その魅力に取り憑かれてしまい会社を辞め自らカカオ生産を始めました。カカオ豆を買付・輸出していただけあり、品質へのこだわりは相当なものです。現在、彼はカカオ農家を育てようと努力していますが、高品質なカカオ豆を生産しても、代理人の元で一緒くたになってしまう為、中々やる気に繋がらないと言う課題があります。

タムさんは自分が情熱を注いだ栽培方法や、発酵技術を次世代に伝え、ブランド化することでより多くの人に注目してもらいたいと考えています。私もその想いに共感し多くの人に知ってもらえるよう活動しています。

 

長年カカオに情熱を注いできたタムさん(右)と髙埜。

 

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