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みかん畑の機械化のはなし その1

2022.04.06

みなさんも“農家”といえばトラクターに乗っている姿を思い浮かべることが多いのではないでしょうか。平坦で広い畑を一人トラクターで耕しているイメージです。むかしは基本的に人の手や牛馬の助けを借りて行ってきた農作業も、いまはパワーがあって快適な農業機械に置き換わってきました。農業機械の進化とともに農家が耕作する畑も広くなり、徐々に重労働から解放されて農業も肉体労働から頭脳労働へ移ってきています。最近では自動運転や最新の通信技術を備えた機械も登場し、ますますスマートな農業に進化しつつあります。

 

無茶々園のある明浜はといえば、それほど農業機械の恩恵にはあずかっていない農業地域です。乗用の機械が入るには平坦地が条件になりますが、明浜の急傾斜地や段々畑には運び込むこともできず、明浜には機械化を象徴するトラクターが一台もありません。それでも、農道が敷かれて軽トラックが普及し、農道を起点とした運搬用のモノレールが張り巡らされ、天秤棒にカゴをかけて収穫物を担ぎ下ろしていた時代に比べれば運搬に関しては随分と楽になりました。

 

 

農道の王者、軽トラ。狭い道でも力強く、頼もしい。

 

 

明浜のような狭く急峻な畑は機械化が難しい。モノラックが普及する前は天秤棒で担ぎおろして(!)いました。

 

運ぶこと以外では大きな機械が入ってこなかった傾斜地の柑橘栽培ですが、草刈り機やチェーンソー、動力噴霧器など小型の機械は大活躍しています。こうしたエンジン式の小型機械は柑橘農家に行き渡り、稲作や畑作ほどではありませんが栽培面積の拡大や作業負担の軽減に貢献しています。

 

柑橘園の小型機械も最近は電動化によってどんどん進化しています。バッテリー性能の向上や脱炭素の社会的な流れにより、小型機械もエンジン式からバッテリー式へシフトしてきました。動力の小型化によって、エンジン式では実現できなかった新たな小型機械も登場して、明浜でも生産者の作業風景が変わってきました。今回は明浜の柑橘園地で活躍する小型機械の一部を紹介します。

 

草刈機

 

草刈り機の動力部分。エンジン式(下)と電動式(上・バッテリー未装着)。電動式は小型軽量で扱いやすいですが、パワーはまだエンジン式に軍配が上がるかな。

 

 

剪定ばさみ、チェーンソー

 

電動の剪定ばさみ(下)と超小型チェーンソー(上)。軽くて小回りがきき、剪定作業には革命的効果。みかん農家の職業病と言えるばね指(腱鞘炎)対策にも。

 

 

ベトナムから帰ってきた片山元治さんはいま農作業に勤しむ毎日。電動剪定ばさみはもう手放せないそうです。“1年で3年分の剪定が進むわい。”

 

 

電動手押し運搬車

 

電動アシスト付き自転車、ならぬ電動手押し運搬車。通路の狭い段々畑にも持ち込める重さとサイズです。みかん畑でコンテナや肥料を運ぶのも楽ちんです。

 

 

空調服

 

バッテリー式の扇風機内蔵ジャケット“空調服”。夏の暑さへの対策でこの数年で急速に普及しました。街なかでも建設工事などでよく見かけるのでは。

 

 

穴掘り気

 

最近話題なのが穴掘り機の電動アースオーガ―。苗木の植え穴掘りや果樹園ではなかなかできない耕耘(中耕)や土づくりに活躍します。

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