お知らせ

不作が明けた春

2025.05.24

 

狩浜の段々畑の一角に座る客人神社。30年ほど前に和歌山の橘本神社から分祀してもらい、みかんの神様である田道間守(たじまのもり)をお祀りした小さな社です。4月3日、この客人神社にて新たな一年の豊穣を祈願する春の祭典を執り行いました。日本の農業の象徴である稲作とおなじように、みかん作りも春が起点となって、樹も農家も秋からの収穫期へ向かって進んでいきます。新しい芽が吹き、花が咲き、枝葉や果実を大切に育てていく季節のはじまりです。

 

みなさんにも繰り返しお伝えしておりますとおり、昨季の柑橘はほとんどの品種で前年の半作に近いような大不作になり、例年のように十分にみかんをお届けすることができない一年でした。

一方でみかんの樹にとっては体力を回復する深い養生の年となり、春に花や芽を作るには有り余る力を備えているはずです。みかん作りの常識に沿って考えるのであれば、今年はきっとたくさんの果実を成らせると予想できます。

 

近年は暖冬傾向が続いていたなか、今年はしっかりと寒い冬になりました。3月になっても冷え込む日があり、桜の見ごろも最近には珍しく一昔前の暦に戻ったこの春。みかんの動きも同じくゆっくりと進んで新芽や花が顔を出すのも遅れています。

昨年は4月なかばのこの頃には春芽も伸びて蕾もはっきりわかる様相でしたので少し焦れったく感じますが、これが本来の平年並みに近い春の歩み。作柄予測の真偽が明確になるのはもう少し先のことになりそうです。

 

みかんの生理に照らし合わせれば、今年はただこの秋の実りを豊かにするだけではなく、来年の春に向けた余力も残せるように管理していくことが求められます。不作を乗り越えてまた安定した軌道に乗せるためにも大事な一年です。

春の祭典には無茶々園の生産者や事務所スタッフが多く集まりました。雨に祟られた昨年とは対照的に晴天の良い日和で、良い事始めになったのではないでしょうか。

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